第345話人の口は欺きに使われる

「クラウディをそんなに早く追い出したいのか?」

ダニエルは顔を上げた。海の底のように深い瞳――そこには、はっきりとエミリーの姿が映っていた。

エミリーは、彼の言葉の端々に滲む悔しさのようなものを、なぜだか感じ取ってしまった。

それはクラウディのためでもある。けれど、それ以上に彼自身のために見えた。

エミリーは、こういうのがいちばん苦手だった。

「だって、クラウディはあなたの犬でしょう。だからそう言ったのよ。離れがたいなら、うちの犬をあなたの家に預けて、クラウディと一緒にいさせるのはどう? それなら、貸し借りなしでしょ?」

エミリーがそう提案すると、

ダニエルの目が、ぱっと明るく輝...

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